東南アジアの各国の経済で最も大きな影響力を持っているのが華僑ですが、先祖の代に移住してシンガポールやマレーシアなどの国籍を取得している人たちは華人になります。今では日本を抜いて一人あたりの国民所得がアジア第1位となった、シンガポール人としてのアイデンティティを持つ中華系の人たちには、華人と呼んだ方が良いです。

バンコクのチャイナタウン

タイでは報道的には混同して両方使われ、今のご年配の人たちの時代には中華系の小中学校教育において中国語禁止政策が取られ、華人と華僑の意味合いの区別がつかない人が多いです。一般の国民の間ではシンガポールやマレーシアと違って、華僑といった方が通じやすいです。

また、東南アジアの各国の華人は福建、広東省の潮州と広州、客家や海南など中国では沿海部の南にあたる華南地方にルーツを持つ人たちで構成されています。シンガポールやマレーシアは福建省の華人、タイは潮州華僑が最も勢力を持っています。

バンコクのチャイナタウン

そのほかタイの南部では福建、北部では雲南華僑が多く地理的背景によって多少、華僑の人口構成が異なってきます。タイの人たちは自分たちのルーツが、雲南省のシーサンパンナ(西双版納)のタイ族と知っている人も多いです。

西双版納は13の棚田というタイ族が話す言葉を中国語に表記したもので、農耕民族の伝統的な文化は民族が南下して世界有数の米輸出国タイを作り上げました。西双版納のタイ族は一般的な中国人やタイ人より日本人に似ているので親近感が沸き、機会があれば是非行ってみてください。

タイ族にルーツを持つタイ人と華僑の混血はかつてから多く、中にはインド系だけでなく現在は日本人や欧米人との結婚も多いです。その中でタイ華僑は、縁故関係のネットワークを活かして多角的事業の経営やチェーン店を展開しています。

バンコクのチャイナタウン

最も生活に関わる身近なものではタイ全土に点在するセブンイレブンですが、潮州華僑のCPグループ(正大集団)の経営です。そのほか、ケンタッキーフライドチキンやピザハット等が知られていて、企業が大きくなったのはブロイラーやブラックタイガーなどの養鶏や養殖業の成功によるものです。

日本の石川県加賀市発祥の8番ラーメンは、現在タイ国内に110店舗を越すお店を構えています。日本側の8番ラーメンの幹部の人たちが、バンコクをくまなく歩いたそうです。お店は小さいがコツコツ型で最も信頼できる人ということで、タイ側のパートナーである広東華僑の経営者を選んだのがはじまりとされています。

タイの華僑では強力なリーダーシップを発揮し事業を大きくする例もありますが、一般的な合弁では口数が少ない真面目なタイプが安心できるといっていいかもしれません。
タイで最も親切な華僑の街

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