タイには「上司や目上の人がいないと、部下は勝手に喜んで振る舞う」といったことわざがあります。社長や支社長不在の場合にナンバー2がトップになったつもりで仕切りたがるシーンと比べると、変な欲望がなくていいかもしれません。

タイの街角

日本のように仕事をきっちりこなす上にトップがいない時こそ気を引き締めてというのは、タイにはあまり当てはまりません。銀行や旅行会社のように来客が多い職場では、勿論愛想がいいタイ人らしく手を抜くことはありません。

ローカルの華僑系の会社で社長が日本、長男が中国で次男がアメリカに出張へ行っていた際のオフィスの中は、緊張感が限りなくゼロに近い状態になります。社長の弟さんである工場長はパソコンで麻雀ゲーム、ほかのスタッフはスマホや携帯の着メロを選んでいるために愉快な音楽が鳴りっぱなし状態です。

タイの街角

全く仕事をしていないわけではないですが、1日ひとつの仕事は何とかきちんとやろうという感じです。貿易実務の仕事だったのですが品質管理やシッピング手配担当、日本に加え英語圏や中国圏各担当セールスへ日系企業からのリクエストを朝一で各担当者に伝えます。

日本だと随時確認が取れ次第レスポンスがあるのですが、タイではトップ不在の場合は終業の30分~1時間前にまとめて来るので、ある意味仕事の段取りとスピード感が身に付きます。

残業が少ない日系企業と違って、タイのローカルの会社では定時で上がりです。終業時間前には各階にいる女中さんに当たるメーバンが戸締まりの準備をしますが、残業はさせないし残業代は払わないが会社の方針なので、迷惑を掛けられません。

トップ不在でも仕事が随時途切れないのが会社のお金が常に動いている、経理部門のスタッフになります。貿易実務であればコンテナ船を手配するシッピング担当になるので、経理担当同様に会社の中でも真面目な人たちが多いです。

タイの市場-

プライベートでトップ不在の時に笑えるのが、チェーン店での日曜の昼過ぎから夕方にかけての食事です。飲食店の各チェーン店の店長や副店長がタイでは、ほとんど女性です。土曜の夕方から日曜の昼間にかけての最も忙しい時間帯を過ぎると、店長や副店長はシフトを離れお休みとなります。

人気のお店でも日曜の3時頃の昼食や夕食に個人で食事に行くと、目の前においている前のお客さんの食べかけのお皿やコップを下げるのが可なり遅いです。若いスタッフが多いのでオーダーを忘れてはいないようですが、出て来るまではいつもの3倍の時間が掛かります。

土曜の張り詰めた緊張感から抜け出され、しおれた風船のような顔をしているので、流石に怒る気になれず、解りやすい性格のタイの人たちを愛おしく感じます。
タイのローカル会社と日系企業の違いについて

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